「いや――少し睨まれた感はあるけど、責められはしなかったよ。言った通り雨止んだら送っていくから」
「ありがとうございます。……でも、本当に大丈夫ですか? 熱は下がったみたいですけど……」
「ああ。ほら、もう熱くないだろ」
こつん、と額と額がくっついた。
「………」
自分でやっといて硬直する俺は、まだ調子が悪いようだ。
「地下です先生。あ、違った、近いです先生」
華取も面には出ていないが、動揺しているようだ。
戸惑うと言い間違う癖でもあるみたいだな。
「……すまん」
「いえ。でも、本当に熱下がったみたいですね。一応風邪薬おいておきますから、また調子悪くなったら使ってください」
華取が言った通り睡眠をとったからか、爽快感すらある。
そうか、これが『風邪が治った状態』というものか。勉強になった。