「華取とは虫除けのための婚約だけです。むしろそういうのから護ります」
『そうかい……。まあ、君を疑うわけじゃないけど、大丈夫かい? 咲桜がお邪魔する形になってしまう。病み上がりのところを』
「いえ、もう熱も引いたので、雨が止んだら送っていきます」
『それならいいんだ。よろしく頼むよ。お大事にね』
「はい。ありがとうございます」
電話は、華取に替わることなく切られた。
「先生、父さん、怒ってました?」
俺があまりに緊張した様子だったからか、華取は心配そうな顔をしている。電話を返しつつ、説明してやる。