「先生の家にいるんだけど、今のとこ帰る道がなくなってさ。そっちはまだだと思うけどすごい雨なんだ。たぶんそっちにも雨雲行くから、父さんも気を付けて帰ってよ」
『あ、雨降ってるんだ。わかった。――え、流夜くんのとこにいるのか? うちじゃなくて?』
「うん。先生んとこ」
『なんで?』
「先生が風邪気味って聞いて、こっちに来た。酷くはならなかったみたいだけど」
『なっ……』
在義さん、電話の向こうで固まったようだ。
まあ、そうだよな……。そろそろ俺の首がかかってくるか。
「水引けたら帰る。あ、ご飯置いてあるから、もし先に帰ってるようだったら食べててね」
『……咲桜、流夜くんに代わりなさい』
……在義さんに指名された。……うわー、逃げてー。華取のことがかかっているから逃げるわけねえが。