「よく眠れたんならよかったです。だるさとかないですか?」

「ああ――むしろすっきりしてる」

「普段もちゃんと寝てればそんな感じなんですよ。失礼しますね」

ブレザーを自分の膝の上に置いて、身を乗り出して先生の額に手を当てた。うん、さっきと違って妙な熱さはない――な?

「……先生、おでこ熱くはないんですが顔が紅いですよ? 新しい風邪でもひきましたか」

「……いや、問題ない」

「先生の通常って色々人外です。あ、違った。人並み外れてます」

在義父さんが、先生に常識は当てはめない方がいいって言ったけど、その度合いを大幅に上げないといけないな、これ。

「おかゆ出来ました。あと、少しおかずを作り置きしておきますので、その間に食べておいてくださいね」

「あ、ありがとう……」

「いえ」

立ち上がったところで、ぐいっと腕を摑まれた。