「……出来たら今のことは在義さんには黙っててもらえると、俺の寿命は二年くらい伸びると思う……」

「在義父さんが先生の命握ってるんですかっ⁉ どんな状態ですか怖いですよ! 大丈夫です絶対言いませんから!」

私の言葉一つで先生の命が二年も動くなんて、黙っている以外の選択肢こそない。

先生は、本気で安心したみたいに息を吐いた。

「それより、もう遅くなってしまったろう? 送って行く」

「へ? いえ、言われた通り十分しか経ってませんけど……?」

私がここへ来たのは五時前だったから、まだ遅いって言われる時間ではないと思うんだけど。

先生に向けて時計を指さすと、先生が固まった。

「……………すごい時間寝てたと思った……」

顔を手で覆って、先生がぽつりと言った。あ、ちゃんと寝ていたんだ。