私が言ったこと、ちゃんと聞いてくれた? なんか言葉が端的で、大分行動との間に脈絡がないけど……。

「ただ、ソファで寝るから、十分で起こしてくれないか」

「だ――」

また私事する気だな――、そう思ったのに、先生は全然違うことを言った。

「心配することと、大事にはしていいんだろ? 華取を一人にしておくのは心配だし、出来るだけ傍に居たいと思う」

「………」

はい? 先生……熱が増しているんだろうか。朦朧としているんだろうな。

「わかりました。時間で起こしますから……」

「うん」

先生はまた短く肯いて、大人しく離れて行った。

……お、おお? 急な態度の変化に困っちゃうんですが……。

十分――ご飯作って、ちょうどいいくらいかな。

全く、そんな生活で身体壊さないって、先生は本当に人間なんだろうか。

先生のご家族とか全然想像出来ないよ。

………。あ、そういえばマナさんが、先生の育ての親の一人って言ってたな……。

つまり生みの親御さんはいないってこと? 先生も大変だったのかな……。