「寝る。今すぐ。眠りに落ちなくても横になって目を瞑るだけでいいです。ご飯出来たら起こしますから、それまで――十分でもいいから、身体を休めてあげてください。頭と気力は動いていても、身体まで連動しないことあるんですよ。ちゃんと定期的に身体も気遣ってあげないと、すぐに壊しちゃいますよ」

「………」

「私は偽モノですが、先生の婚約者ってことになってるんです。心配と大事にすることくらい、させてください。……先生に大事な人が出来たら、ちゃんとお譲りしますから」

「―――」

「わっ?」

トン、と今度は軽く音を立てる勢いで、先生が私の頭に手を置いた。

「先生? 私の言ったこと聞いてました?」

「うん」

肯いたくせに、何故か次に頭をくしゃくしゃに撫でまわした。

「先生っ! 嫌がらせですかっ? 気に障る事言ってたら申し訳なかったですけど――」

「寝る」

「えっ? えっと……はい、そうしてください……?」