そう決めて、これは雑談、と心の中で呟きながら話を振る。

先生を怒らせるとか嫌われるとか、ほんと無理。

このまま黙ったままは私のメンタルがきつい。

「もうすぐ梅雨ですね。洗濯物が溜まっちゃって大変ですよ」

「……普通はそういう苦労があるんだよな」

「先生は洗濯も苦手ですか?」

「……最低限はやってるつもりだ」

「そういうこと、しに来てくれる人はいないんですか?」

「残念ながら。……少しずつやらないといけないよなぁ」

「だったら私がお手伝い来ましょうか?」

「……助かる」

何気ないことでも会話のネタになってよかった。雨、ありがとう。

しっかし、全く使った気配のないキッチン……。

マナさんが言っていたのは誇張ではないらしい。

でも、いくら先生と知り合いの遙音先輩に言われたからって、さすがに家まで押しかけるのは常識がなかったかもしれない……。

今更だけどそこに思い至って密かに落ち込んでいると、また頭にあたたかな手が乗った。

もうそこは先生の定位置のようになってしまっている気がする。

私が顔をあげると、先生は困ったような顔をしていた。