「詳しくはないですけど……私も、笑満と頼以外は、父さんの仕事のことは話してませんし、そういう風に育てられましたから。警察の方には首を突っ込むなという教育方針? と言いますか……。でも、ほんとに父さんの方が色んなとこに首突っ込んでるから、被害者が多いのも知ってますし……」

その被害の半分は龍生さんに降りかかっている。

お隣のおねえさんは、『在義兄さんの行動力についていけるのが、龍生兄さんだけだったのよ』と話してくれたことがある。

龍生さんは高校生時代うちに下宿していたそうなので、おねえさんとも親しい。

私はその被害を承知しているので、龍生さんにはいつも感謝しかない。

父さんを見捨てないでくれて、ありがとうございます。

「あの、なんで学者さんをしてるのに先生もしてるんですか?」

「……少しの間、教師をやっている方がいい理由があってな」

「理由?」

訊き返すと、神宮先生は思案するように目を細めた。