じゃーなー、と後ろ手を振りながら出て行った。
相変わらず騒がしい……。
遙音が隣の部屋にいたこと、当然承知していた。
その上で華取や松生が入ってくるのを止めなかったし、宣誓もさせてもらった。
軽口を叩くのは降渡に似てしまったが、俺たちに続こうとしている奴だ。
自分で俺たちに引導を渡すことは考えても、他人の手を借りてそれをする奴でもない。
そして、遙音の導き手になると決めたのも、俺たちだ。
簡単に言って遙音は、『味方』だ。
華取は知らないだろうが、在義さんとも面識はある。
……華取とのことを隠すのに手を貸してもらうか。
あいつは文句は言うだろうが、言うだけだ。
一度閉じたパソコンをまた開く。
リアルタイムで事件が起きたときだけ、この資料室で『私事』をさせてもらっている。
基本的に、家に学校の仕事を持ち帰らないかわりに、学校に私事を持ち込まないようにしているが、火急の場合だけその境界は揺らがせている。
しかし、松生に好印象だったようなのはよかった。
なんかさらっと色々言っていたけど……まあ、おいおい。
やはり華取の友達だ。偽モノの婚約者でも、よく思われていたい。