「その辺りは深く考えなくていい。華取に迷惑はかけない」
神宮先生は神妙な顔で言うけど、私は「いえ」と反論した。
「在義父さんとお仕事してるなら、むしろ父さんが先生にご迷惑かけまくってるでしょうから、別に迷惑かけてもらって構いませんよ?」
「………」
神宮先生は虚を衝かれたような顔をした。
私がこんなこと言ったのにはわけがある。
在義父さんは、実を言うとマナさん以上だ。マナさん以上に炎が似合う人なのだ。
警察内部では、『苛烈な太陽の塊』とか言われているそう。
龍生さんは、マナさんが『歩く地雷原』なんて言われているのは在義父さんの影響を受けまくったからだと評価していた。
顔を合わせればマナさんには適わない在義父さんだけど、厄介な問題引き起こし体質なのは在義父さんの方だと思う。
ふと、神宮先生が「……在義さんが娘バカなわけだ……」と呟いた。
その言葉は聞こえたけど、どういう意味だろう? まあ私は進学校に通っているけど、それは親友たちと一緒の学校に行きたかったからで、頭はよろしくない自覚はあるさ。
「私はバカですが?」
「華取じゃない」
え、今、娘がバカって言わなかったですか? そう訊き返すと、
「在義さんが親バカだと言っただけだ」
と言われてしまった。……そうなの?
「……華取、在義さんの仕事のこと詳しく知っているのか?」