「先生、あたしにも普通に話してくださいって言ったら、そしてくれます?」
「普通にと言われても……」
「それとも、その顔は咲桜限定ですか?」
「………」
笑満のひっそりとした問いかけに、先生は一瞬真顔になって、軽く口元を緩めた。
「ああ、そのつもりだ」
「そうですかそうですか。それは重畳」
あの、日本語変換をしてほしい……。
二人のやり取りの意味がわからなくて、私は疎外感に引きずられそうになった。
けれど、笑満がやたら楽しそうな明るい顔で振り返った。
「咲桜! あたしいいよ、先生なら」
「え? なにが?」
振り向いた笑満の、満面の笑みの宣言に瞬く。
「咲桜の婚約者。先生ならガチでもいいよ」
「こ………ちょっ、な、なに言ってんの!」
はっきりと言われて、慌てて笑満の口を塞ぎに走った。学校でなにを言ってるんだこの子は!