「いーですよ、そんなの。あたしは咲桜のおまけなんですから」

ね、と笑顔を向ける笑満に促されて、私は今日のお弁当を渡す。

「ああ、ありがとう」

「いえ。あの、すきなものとか嫌いなものあったら教えてください。気を付けるので」

袋を手渡しながら言うと、先生は少し考える素振りを見せた。

「嫌いなものはないな。何でも食べないと投げ飛ばされたから」

「投げっ⁉」

「飛ばされた。厳しい時代を生き抜いたじいさんに育てられたからな。その辺りは厳しかった」

す、すごい教育方針だ。スパルタってこういうことを言うのだろうか。

「華取が作ってくれるものは全部美味いから、どれもすきだ」

「………」

いきなりべた褒めされて返事に困る。

むしろ一気に顔が熱くなって頭から湯気出そうだ。

それを隣から笑満が、にまにましながら見ていたことにも気づかなかった。