少し、華取の声が明るくなったように聞こえた。
それに、俺もどことなく安心した。
この子に、あまり息苦しい思いをさせるのは嫌だったから。
「いいのか?」
「はい。うちは親戚とかいないから、来てくれる人がいると嬉しいんですよ」
「いや……俺が行くと、顔見知りになった降渡や吹雪までついてくるぞ?」
「大丈夫ですよ。大人数の料理は慣れてますから」
「……華取は器が大きいな」
見習え、と龍さんあたりにどやされそうなくらいだ。
ほっこり笑う華取。
自分の出生もなにも、受け容れての上の言動なのだろう。
親戚がいないというのも、母方には望めないことだ。
在義さんの両親は、早世していると聞いている。
そういうことも含めて、親戚がいないと言い切ることが出来る。
この子は、強いな。そう思った。
だから、出来たら――
「あまり無理はするなよ」