「ならないな。苦手なんだ、ああいうしがらみ全開のところ。……最初は警察の方も、探し物さえ見つかればすぐに辞める気でいたんだが、そうもいかないところまで関わってしまった」

「探し物?」

「ああ。探すために、警察に関わるのは一番手っ取り早かったんだ。その関係で在義さんにはたくさんお世話になった」

「そうなんですか。……なら、うちに来てもよかったのに。あれ? もしかして来たことあります?」

「行ったことはないよ。一昨日が初めてだ。でも、もっと早くに行けばよかったとも思った」

「ですか?」

「ああ。在義さんの面白い面を見ることが出来た」

洗面台で寝るとか。そして娘に助けを求める情けない声。

怒らずに対応する華取は、出来た娘だと思った。在義さんがべた褒めするのも肯けてしまう。

「また来てくださいよ。父さんの知り合いって形なら大丈夫でしょう?」