かはっと、乾いた笑いをもらす降渡。
マナちゃんは降渡のところの常連客だ。
マナちゃん本人がよく問題の渦中にいる人だけど、人の世話を焼くのもすきだったりする。
流夜は頼み事自体しないけど、降渡や僕の頼み事は聞いてくれることが多い。
そして降渡は、マナちゃんの頼りどころが絶妙。
僕の方を見てカウンターに頬杖をつく。
「りゅう、気づいてた?」
「うーん。流夜が気付かないはずないんだけど、気づく余裕がなかったって感じかな。もう咲桜ちゃんしか見えてないよ、あれ」
「わあ、重症」
「だね」
二人そろって流夜を笑う。
流夜って学生時代から事件頭だから、女の子に興味あるか心配なくらいだったんだよね。
でも咲桜ちゃんへのあの態度は――
「……いいのかな、あの二人。近づけちゃって」
ふと、らしくもなく僕の声のトーンが落ちていた。