「あのっ、ご馳走様でした」

「そこの馬鹿弟子からいただくから気にすんな」

「いや、それは」

申し訳ないです、と続けようとすると、先生が振り返った。

「弁当の礼だと思ってくれればいい」

その言葉を聞いてか、降渡さんが一度黙った。

そこまで言われては私も黙るしかない。

龍生さんと降渡さんに頭を下げてお店を出た。

「すみません、先生」

「何がだ?」

《白》の裏手側に設えられた駐車場まで歩く間、もう一度謝っておいた。

けれど先生はなにを言っている? と隣を歩く私を不思議そうな顔をして見て来た。

「お友達といたところに私が割り込んじゃったみたいな形になっちゃって……」

「そんなことはない。あいつらとは別に友達してるわけじゃないし。俺が言い出したことだしな」

そう言って私を見下ろす瞳は優しかったけれど、やはり『神宮先生』とはどこか違う気がした。

……なんだかドキドキするのは気のせいだろうか。気のせいか。