私は半眼になって隣へ続く襖を見た。
まったくマナさんは、抜け目ないというか壁が目というか。
どーせ隣では在義父さんが泡喰って止めようとしてるか、もう諦めて明後日の方を見ているのだろう。
娘が言うのも難だけど、父さんがマナさんに勝てるとは思えない。
「わかりました。マナさんに聞かれない方がいいんですね?」
私の返事に、神宮先生は神妙に肯いた。
マナさんに対してこの対応と動揺のなさ。
……神宮先生とマナさんが近い関係だと確信出来る。
壁に耳あり障子に目ありを地で行くマナさんは、どれだけ尊敬できる存在であっても油断ならない方なのだ。
私に対して弱みを握るとかそういうことはないんだけど、私の父が在義父さんで、その相棒が龍生さんなので、私をネタに被害は二人へ行ってしまうから気をつけねばなのだ。
「お前、何を聞かされてここへ?」
「………」
神宮先生に『お前』と呼ばれたことにびっくりして、一瞬返す言葉が見つからなかった……。
先生、キャラが違い過ぎませんか……?
「……華取?」