華取の素直な感想には同意するが、しかし否定もしておかなければいけないだろう。

「在義さんとは違う。吹雪は行動原理が面白いことなら、で、行動理由は面白そうだから、だ。在義さんと並べるととんだ失礼になるからしない方がいい」

「……どんな方ですか」

華取の声が平坦に聞こえた。

あまり一般常識をあてはめてはいけない方だ。

「そういう奴だ。基本、人をからかいしかしないから、華取も、あいつが言うことは本気にしない方がいいい」

「……肯いていいのかわからないですけど、わかりました」

話しながら歩いているうちに、街角の喫茶店に着いた。

外観は壁に煉瓦が埋め込まれている造りで、看板はない。

店の名前は《白》だけど、それが伺えるものは一つもない。

龍さんは、あくまでここを同業者が使う場所としているから、仲間連中に通じればいいのだと言っていた。

「華取、入らないのか?」