「先生って、本当に先生なんですね」
「……は?」
どういう意味だ?
「いえ、深夜徘徊みたいなことしてるのに理由聞いたら怒らないし、心配して送ってくれるって言うし。先生みたいな人がいるから、頑張れる子っているんですよね、きっと」
大分違う。
確かに藤城にだってそういう教師もいるけれど、俺はそんなタイプではない。
深夜徘徊を見つけたら教師として即捕縛するし、なにかあって送るようなことがあってもここまで食い下がらない。
でも、華取には自分でないと駄目だ。
……いい方向に誤解してくれているみたいだが、何故か気分はよくない。
「……言っただろう、俺が大丈夫にするからと」
同じ言葉を、華取に言った。あのときは、深い意味などなくて。
今は、底の見えない意味があって、自分でも読み切れていなかった。
「えと……じゃあ、お願いします……」
華取が頭を下げた。