「降渡に連れて行かれて、さっきまでいたんだ」

「そうなんですか。在義父さんに、まだ行っちゃダメって言われてるんですよ。仕事関係の人しかいないから、って」

在義父さん。華取は在義さんをそう呼ぶ。今更ながら、華取の呼び方の重みがわかった気がする。

「《白》に行ったことないのか?」

「はい。二十歳になったら解禁だって言われてます」

「そうなのか……」

山間の村で育って、中学のときにこちらへ出てきて以来警察に首を突っ込んでいるので、俺たちはそういう年齢制限にはあまり意味を感じてこなかった。

だが、遙音を見つけてしまった身として、在義さんの気持ちもわかると思う。

在義さんは父親として、華取の心配のために行動に制限をかけているのだろう。

高校生を巻き込むような荒っぽいヤツが、龍さんの職場を使うことが許されるわけないが。

俺たちも、遙音の夜歩きはさせないようにしている。

……遙音と同じ年の頃の自分たちは棚上げにして。

……………………。

「華取。車、《白》の駐車場にあるんだ。少し店も見てみないか?」