「在義さんと娘さんのこと? いつって言うか……警察に入って、風の噂、っていうのかなぁ。たまに聞こえて来たんだよね、そんな話が。在義さんのことだったから、過去の資料調べてみたら合致するのがあったんだ。内部資料から知ったことだから、僕が二人にそれを話したら情報漏えいになっちゃうでしょ? だから言わなかったけど――流夜と降渡はあくまで『外側』の人間だから、知らなくて当然だと思うよ」
その話を聞いても、俺はまだ動けなかった。
正直、衝撃が大きすぎた。今すぐあの子に逢いたい。あの子に言った『大丈夫だ』という言葉を、もう一度、今度は違う意味でかけてやりたい。
学校でも文句も反抗もなく、素直な生徒でいるあの子は――どんな気持ちを
抱えているのだろう。
黙り込む俺を見て、両隣の幼馴染二人は何を考えたのか。
ふと、吹雪が言った。
「あ、ごめん、僕忘れ物した。戻ってくる。……流夜、ちょっと付き合ってくんない?」
吹雪に言われて、俺は上手く思考が廻っていない頭で肯いてしまった。
――その様も、幼い頃から知る三人には観察されていた。