こみあげるものが確かにあって、顔をあげて口元に手の甲をあてた。 そうでもしないと何か――言ってしまいそうだった。 どうして俺たちに黙っていたんだと、龍さんに怒鳴りつけてしまいそうだった。 そんなことしたら絶対に沈められるけど。 「吹雪、気が済んだらてめえの分だけ持って出ろ」 「はーい」 龍さんが話している間――俺が物思いにふけっている間に、一つ紅茶を作った吹雪は大人しく元いた席に戻った。 降渡が問いかける。 「……なあ、ふゆ。さっきの話、お前はいつ知ったんだ?」