こみあげるものが確かにあって、顔をあげて口元に手の甲をあてた。
そうでもしないと何か――言ってしまいそうだった。
どうして俺たちに黙っていたんだと、龍さんに怒鳴りつけてしまいそうだった。
そんなことしたら絶対に沈められるけど。
「吹雪、気が済んだらてめえの分だけ持って出ろ」
「はーい」
龍さんが話している間――俺が物思いにふけっている間に、一つ紅茶を作った吹雪は大人しく元いた席に戻った。
降渡が問いかける。
「……なあ、ふゆ。さっきの話、お前はいつ知ったんだ?」
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…