――龍さんの簡単な説明を聞いて、俺の中では腑に落ちるものがあった。
華取の家で在義さんと一緒に食事をしたとき、娘がいい子過ぎるとか、反抗期がないとかいった愚痴をこぼしていた。
もしも華取が自分の出生を知っていたなら、そういう性格になったのも肯ける。
――あの子は、十中八九知っているだろう。
「そんなわけでよ、血の繋がりがねえけど在義は堂々と娘を褒めちぎるとこもあるし、娘の方も素直な性格に育っただろ? お前、娘ちゃん弄んだらもれなく俺の拳骨も付属するからな」
警告だとばかりに、こつん、と軽く叩かれて、思考に沈んでいた俺の意識は現実に戻った。
……慕っていた在義さんの秘密に、驚いていないわけがない。
奥さんが亡くなっているのは知っていたけど、在義さんのことよりも、華取の心配の方が先に立ってしまったことも否定できない。
華取が……自分の出生を知りながら、あんなに頑張っていたのか?