「はあっ? 婚約? 在義さんの娘って――あの子? 確か……さおとかいう……」

吹雪は(偽)婚約の件は知らなかったのか? もう半日もあれば吹雪にも調べられていただろうけれど――こいつの悪い癖が出ていなければ。

「娘さんも可哀想に。血の繋がりもないのにやっぱり巻き込まれちゃうんだねー」

吹雪は、欠片も華取に同情している様子もなくそんなことを言った。

その発言に、俺と降渡も行動が一瞬停止した。

同じ言葉に引っ掛かっているな……。

血の繋がりってどういうことだ?

「なんだ、お前は知ってたか」

龍さんの声が吹雪に向く。

「うん? まあね。知ったのは警察入ってからだよ。内部に入れば公然の秘密って言うか、有名な話みたいだし」