駐車スペースは三台ほどの駐車場に停まった。喫茶店《(シロ)》の駐車場だ。

街角の喫茶店は、カウンター席が九つと、テーブル席が五つ。

扉には猫の首輪についているような、大振りの鈴がある。

鳴ると奥の方からガタイのいい強面で壮年の男性が出てきた。

時間も遅いからか、他に客はいなかった。

「おう、来たのか」

「久しぶりー、龍さん」

「降渡に連れて来られた。なにかあったの?」

降渡が先を歩いて、一番奥まったカウンター席につく。

店主・二宮(にのみや)龍生(りゅうせい)さんはカウンターの中だ。

元ノンキャリ刑事の、現ここの店主だ。

「なにかあったじゃねえよ。お前、在義の娘と婚約したんだって?」

「!」

ガクン、とカウンターについていた肘が折れた。

……なんで知っている。俺は顔をあげられないまま問う。

「……龍さん、どこでそれを……」

「在義が絡んできた」

龍さんはさらっと言った。まさかの在義さん発信源だと⁉ 

なんか、裏切られた気分になった。