「華取が知ってるって言っていた。在義さんの友達だから、家にも来るって。お前は知ってたのか?」

「いや? 在義さんに娘がいるのは知ってたけど、詳しいことは。そっちは? ガッコの生徒だったんだろ?」

「一応認識してはいたけど、バラす気もなかったから関わらないようにしてた。だから愛子が連れてきたのが華取とか……あいつは俺を辞めさせたいのか」

チッと思いっきり悪態をつく俺を、降渡は当然のように笑う。

「そりゃそうだろ。愛子がお前を警察機構に入れたいのは公然の事実じゃん。どこから足元掬われるかわかんねーぞ?」

「……気を付けても意味ねえんだよな、あいつは……」

歩く地雷原とあだ名されるキャリア警察官。

長年の愛子との付き合いで、それは身に染みていた。

愛子の傍で本心からニコニコしていることが出来るなんて、吹雪くらいのものだ。

「本当に――憧れちまったら終わりだな。邪道優等生と正道不良。いいコンビじゃねえか。越えるけど」

「当然」