アホなことを言いながらカップを傾けてやがる。
今日はこのまま吹雪のいる上総署へ行くつもりなので、一応着替え。
スーツのジャケットを脱いでハンガーにかけた。
降渡の来訪がなければ適当に投げ出されていたそれは、安心したように壁の絵になる。
「咲桜ちゃんはいいの? 高一つったらこれから彼氏とか出来て楽しい時期じゃん」
「本人も了承の上だ。婚約の件は公にはしないから、華取に彼氏出来ても問題ない。むしろ出来れば解消する理由にもなってちょうどいいだろ」
「ふーん?」
そうなんだー、と、カップの淵からこっちを見てくる。
「で、今日はなんだ。また案件持って来たのか? 昨日、お前の遣いだって遙音が来たばっかだぞ」
胡坐を掻いて、降渡の淹れたコーヒーを取る。
「たまには龍さんが来いよって言ってたから、お前も行くかなーって思って来た」