「なーりゅう、お前、ふゆんとこ行っててちゃんと眠れてんの?」

「いつも通りだ」

「ふーん。変化ないんなら、まいいけど」

言って、降渡は自分で茶の準備をしにキッチンに向かった。

俺に料理スキルを求めても意味がない。降渡は放っておいて、面倒なネクタイを外す。

「……ん?」

どうやら降渡は弁当の痕跡に気づいたようだ。

カップ皿なんかはそのまま捨てたし、その柄はこの辺りのコンビニやスーパーで使っているものではないとすぐに気づくだろう。

昨日遙音が来た時に、あいつが自分用にと勝手に持ち込んだコップを使ったあとはあるから、そのセンも考えるだろうが――見えた降渡の横顔から、遙音関係でもないとわかったと知れる。

「りゅうー、お前見合いしたんだって?」