「わーい。先生の素顔見てやろー」
「びっくりするよー。見せてくれるかわからないけど」
「咲桜の秘密と取引で見せてもらうから」
笑満がめっちゃいい顔で言うので、私は軽く笑った。
「なに言ってんの」
「あ、夜々さんは? マナさんの紹介なら知ってるんでしょ?」
「それが、ねー……」
笑満が出した名前に、咲桜の顔色が一気に曇った。
「どした?」
「マナさんから、夜々さんのことは一個も聞いてないんだ。そんで、先生に夜々さんのことを話していいかも、一人じゃ判断つかなくて……」
「聞いてないんだ。うーん……咲桜、夜々さんのこと学校の誰にも話してないんでしょ?」
「うん……小学校のときは、お隣の家だからみんな当然のように知ってたけど、高校にもなると範囲広いし。もし夜々さんが隠していたかったら神宮先生には話せないじゃん? その逆もあるし」
「だよねぇ。そこは悩むね……」
板挟みだ。
うーんと二人して唸りつつも、いつしか馬鹿らしくなる。