「? 流夜くん?」

「どうかした?」

在義父さんとマナさん、双方から声をかけられて、はっと意識を取り戻したようだった。

「すみません、在義さん。愛子抜きで状況確認したいので、少し娘さんと話をさせてもらってもいいですか?」

「咲桜と? 構わないけど……片腕を折られる覚悟はあるかい?」

「俺は何をしたんですか」

真剣な目の在義父さんを、平坦な瞳で見返している。

「まーまー華取先輩。これはあれですよ、お若い者同士でにふふ、みたいな。ロビーに行きましょうよ」

何やら見合いの仕掛ける側に願望を持っているらしいマナさんは、提言に反対せずに在義父さんを引っ張って行ってしまった。

マナさんの足音が消えたのを確認するように間を置いてから、『りゅうやくん』は眼鏡のない瞳を私に向けた。