「………」
三秒ほどその人を見て、私は『黙る』という行動しか出来なかった。
なんというか……今まで見て来た中で、飛び抜けたイケメンさんがいるんだけど。
テレビだろうが雑誌だろうがをひっくるめても一等をとれるんだけど。
背が高く、真っ黒の髪は清潔感のある長さで、形のいい眉と鋭い視線。
少しすると目つきが悪くも見えるけど、今はお疲れのご様子だ。
あと身体のバランスがすごく整っている。
……本当、何者?
私が『りゅうやくん』さんの観察で精いっぱいになっていると、向こうから口を開いた。
聞こえた声に、私は耳を疑った。
「すみません、在義さん。今日は愛子を止められなかった……」
「あ、いや、そこは気にしないでいいよ」
自分も止められなかったし、と話している在義父さんと……えっと……うーん? あれ?
「大体この話も――」
続けて言いかけて、見上げていた私と目が合って固まった……。