「つごもりさん、ありがとうございました。あとは、ひとりでちゃっちゃと作りますので」
そう言うと、つごもりさんは深々と頭を下げる。そして、調理台に置きっぱなしだったコーンフレーク用のお皿を、慎重な手つきで棚に直してくれた。
あのお皿は確か、祖母が祖父にもらったという、年季が入った有田焼である。大事にしていた品だと知っていて、丁寧に扱ってくれるのだろうか。だとしたら、嬉しい。
つごもりさんは言葉数は少ないものの、とても優しい青年のようだ。
いや、青年ではなく、狛犬なのだけれど。
と、若者(?)の姿に感激している場合ではなかった。調理を進めなければ。
アジの干物が焼けたようなので、お皿に移す。春キャベツはシンのほうから煮込む。春以外のシーズンは、シンは鶏の餌になる。けれど、春キャベツだけは別だ。シンまで柔らかく、ほんのり甘みがあるのだ。
煮込んでいる間に、だし巻き卵を作る。 まず、出汁にみりんと薄口醤油を加えて混ぜておく。ほんのちょっぴり砂糖を加えるのが、ポイントだ。
これを、溶いた卵に加えて、焦げないように焼くのだ。
卵焼き器にサラダ油を広げ、火にかけた。菜箸に卵を付け、熱した卵焼き器に付ける。ふつふつと焼けるようだったら、しっかり温まっている証拠だ。
卵を流し、半熟の状態でくるくる巻く。端に寄せたら、再び卵を注ぐのだ。これを何回も何回も繰り返したのちに、だし巻き卵は焼き上がる。
焼けただし巻き卵はまな板の上に載せられ、巻きすで形を整えた。あとは、カットをしたら完成だ。これも、お皿に盛り付ける。
そろそろ、味噌汁のシンが煮えたころだろう。柔らかな葉部分を加えて、ひと煮立ち。最後に、味噌を溶き入れ、沸騰する前に火を消す。ネギを散らしたら、味噌汁の完成だ。
ぬか漬けは、私が東京から持ってきていたものを使おう。キュウリを発掘し、きれいに洗ったあと、一口大にカットする。
タイミング良く、ご飯が炊けたと知らせるアラームが鳴り響く。炊飯器の蓋を開くと、白米がピカピカに光り輝いていた。我ながら、とてもおいしそうに炊けた。
お盆に茶碗に装ったごはんとだし巻き卵、ぬか漬けを載せ、居間に運ぶ。両手が塞がっているので、足で襖を開けてしまった。すると、美少年姿に戻っている満月大神に笑われた。
「それ、幸代もしていた」
そう言うと、つごもりさんは深々と頭を下げる。そして、調理台に置きっぱなしだったコーンフレーク用のお皿を、慎重な手つきで棚に直してくれた。
あのお皿は確か、祖母が祖父にもらったという、年季が入った有田焼である。大事にしていた品だと知っていて、丁寧に扱ってくれるのだろうか。だとしたら、嬉しい。
つごもりさんは言葉数は少ないものの、とても優しい青年のようだ。
いや、青年ではなく、狛犬なのだけれど。
と、若者(?)の姿に感激している場合ではなかった。調理を進めなければ。
アジの干物が焼けたようなので、お皿に移す。春キャベツはシンのほうから煮込む。春以外のシーズンは、シンは鶏の餌になる。けれど、春キャベツだけは別だ。シンまで柔らかく、ほんのり甘みがあるのだ。
煮込んでいる間に、だし巻き卵を作る。 まず、出汁にみりんと薄口醤油を加えて混ぜておく。ほんのちょっぴり砂糖を加えるのが、ポイントだ。
これを、溶いた卵に加えて、焦げないように焼くのだ。
卵焼き器にサラダ油を広げ、火にかけた。菜箸に卵を付け、熱した卵焼き器に付ける。ふつふつと焼けるようだったら、しっかり温まっている証拠だ。
卵を流し、半熟の状態でくるくる巻く。端に寄せたら、再び卵を注ぐのだ。これを何回も何回も繰り返したのちに、だし巻き卵は焼き上がる。
焼けただし巻き卵はまな板の上に載せられ、巻きすで形を整えた。あとは、カットをしたら完成だ。これも、お皿に盛り付ける。
そろそろ、味噌汁のシンが煮えたころだろう。柔らかな葉部分を加えて、ひと煮立ち。最後に、味噌を溶き入れ、沸騰する前に火を消す。ネギを散らしたら、味噌汁の完成だ。
ぬか漬けは、私が東京から持ってきていたものを使おう。キュウリを発掘し、きれいに洗ったあと、一口大にカットする。
タイミング良く、ご飯が炊けたと知らせるアラームが鳴り響く。炊飯器の蓋を開くと、白米がピカピカに光り輝いていた。我ながら、とてもおいしそうに炊けた。
お盆に茶碗に装ったごはんとだし巻き卵、ぬか漬けを載せ、居間に運ぶ。両手が塞がっているので、足で襖を開けてしまった。すると、美少年姿に戻っている満月大神に笑われた。
「それ、幸代もしていた」