「うん。だって、迷惑かけちゃうと思って」

「まぁいいさ、いまはとにかく休め。食欲出たらこれ食えよ?」
そう言って掲げたのは白い紙袋。

「『執事のシャルール』行ってきた。マスターに礼を言って、ハナコの代わりに食ってきたぞ。美味かったなぁ」

「え! 行ったの? なんだったの? 今日のメニュー」

「骨がついてるラムのステーキと、ジャガイモのなんかと、きのこのなんか」

アハハと笑い合う。
「なんかじゃわかんないじゃない。で? それはなに? 見せて、見せて」

「食べるか?」

「うん。食欲が出てきた。食べる」

袋を受け取ると、ほんのりとミルクとかチーズの香りがする。

「ハナコが具合悪くして寝込んでるからって言って、マスターに何か作ってくれって頼んだんだ」

「そうなの!? ありがとう! うわー、美味しそう」

まだ温かいその料理は、ホワイトソースが優しいリゾットだった。



リゾットを口にしながら、そっと聞いてみた。

「あのさ……、本当にいいの?」