最悪この会社を辞めることになるかもしれない。
でも、やるだけのことはやったよ? と、昨夜声をかけてくれた女性に心の中で報告した。



「失礼します」
庶務課の課長と不安げな様子の見崎史佳が入ってくると、岡部課長はどうぞ前へと彼らを促した。

課長の席から向かって左側に営業二課の課長と保坂。右側に秘書課の課長と見崎史佳が並ぶ。

岡部課長は、保坂に言った通り、そして保坂が答えたとおりのことを寸分たがわず庶務課のふたりに報告した。

そして岡部課長は庶務課の課長と営業二課の課長に、自身のスマートホンの画面を見せた。
いつのまにか石井からなにかを送信してもらったのかもしれない。
一体なにが映っているのかは羽菜子にはわからないが。


ふたりの課長は深い溜息をついた。

「見崎さん、田中さんにあやまりなさい」

庶務課の課長に促されて史佳は泣きそうな顔を見せた。

「私、別にそんなつもりは、まさかそんな……」

言い淀んだが、保坂は黙ってはいなかった。

「はあ? 田中さんがバーでパパ括しているから行ってみろって、君が言ったんじゃないか。俺はまさかって言ったのに、行けばわかりますよって」

「そ、そんなこと、私、言ってませ……」
案の定、見崎史佳は泣き出した。

予想通りの展開に、羽菜子は静かにため息をつく。