気持ちを立て直したくて、向かった化粧室。

――まさか。あのトイレでしていた話を、もう営業にまで?

見崎史佳? あの子たちは自分たちで噂するだけじゃなくて、男の人にまで触れ回ったの?

私があなたたちに嫌われるような何かした?
ねぇ。何かした?

そう聞きたところで理由なんてないのかもしれない。
ただ気に入らないというだけで、平気で人を傷つける人はいる。目障りだというだけで……。

私だけならいいと思っていた。何を言われても。
でも、この大切な店に迷惑をかけてしまった。結果的にあんな下品な男を呼び寄せてしまった。しかもあんな大きな声で。


『隠すなって、ここで男探してるんだろ?』

私の、唯一の、心の拠り所なのに。なんてことを。


もうだめ。

――もう、ここには、来れない。


恥ずかしさと悔しさで、このままいっそ溶けて消えてしまいたいと思った。