ふと、さっきの映画が頭を過った。 ここで会ったのは偶然だけれど、その偶然に、必然の意味を持たせることは出来る。 もう二度とこんなことはないだろうから――。 「お土産にもらったケーキがあるの」 羽菜子はポツリとそう言った。 「――これ。一緒に食べる?」 一生に一度くらい、こんな冒険をしてもいいよね?