心ゆくまで美味しい食事を楽しんで、ひと息ついて時計をみると八時を回っていた。
その頃になると、ポツリポツリと客が増えてくる。
カウンター席が半分埋まり、それが合図のように席を立った。
レジで会計を済ませた時、マスターが封筒を差し出して声をかけてきた。
『またのお越しをお待ちしております』という言葉以外を聞いたのは、初めてのことかもしれない。
「もし、よろしければいらしてください。実は十周年を迎えましてね。常連の方だけを招いて皆さんで、クリスマス映画でも見てゆっくりしていただければと思っています。料金は頂きませんので、是非」
その場で封を開けてみた。
「――無料?」
「ええ、無料の招待です。軽食ですが。気が向いたらどうぞ、予約も必要ありませんから」
封筒に入っていたのは、ご招待と書かれたカード。日時だけが書いてある。
日にちはクリスマスイブだった。
――クリスマス映画……。へぇー。
「ありがとうございます。参加させてください」
気がつけば即答していた。
嬉しかった。
女の子たちの陰口を思い出してしまったからかもしれないが、クリスマスイブに予定が出来たというだけで、もう泣きたくなるほどうれしかった。
誰かにそんなことを言ったら笑われてしまうだろう。
でも本当にそれくらいうれしくて、涙が零れそうで、歩きながら夜空を見上げた。
その頃になると、ポツリポツリと客が増えてくる。
カウンター席が半分埋まり、それが合図のように席を立った。
レジで会計を済ませた時、マスターが封筒を差し出して声をかけてきた。
『またのお越しをお待ちしております』という言葉以外を聞いたのは、初めてのことかもしれない。
「もし、よろしければいらしてください。実は十周年を迎えましてね。常連の方だけを招いて皆さんで、クリスマス映画でも見てゆっくりしていただければと思っています。料金は頂きませんので、是非」
その場で封を開けてみた。
「――無料?」
「ええ、無料の招待です。軽食ですが。気が向いたらどうぞ、予約も必要ありませんから」
封筒に入っていたのは、ご招待と書かれたカード。日時だけが書いてある。
日にちはクリスマスイブだった。
――クリスマス映画……。へぇー。
「ありがとうございます。参加させてください」
気がつけば即答していた。
嬉しかった。
女の子たちの陰口を思い出してしまったからかもしれないが、クリスマスイブに予定が出来たというだけで、もう泣きたくなるほどうれしかった。
誰かにそんなことを言ったら笑われてしまうだろう。
でも本当にそれくらいうれしくて、涙が零れそうで、歩きながら夜空を見上げた。