あぁ、そうか。これはうれし涙なんだ。


 みんなと過ごせる幸せな日々。

 その幸せを噛み締めて、わたしは今泣いているんだ。

 そんな当たり前のことでこんなに泣いちゃうなんて、なんだか不思議だけれど。


 隣に座る結弦が、わたしの頭をそっと撫でた。


「琴音が喜んでくれて、よかった」


 だめだ、涙腺が馬鹿になっている。泣くな……泣くな……笑え……。


 こんな楽しい日に湿っぽくなんてなりたくない。

 幸せを涙で彩るなんて、そんなの滑稽だ。


 必死で涙をとめようとしているにも関わらず、怜がさらに追い打ちをかけるように、にかっと笑って言った。


「泣きたきゃ気が済むまで泣けよ。だれも責めたりしねえから」


 怜までそんなこと言うなんて、どうしてみんなわたしなんかにここまで優しくしてくれるの?


 ずっと友達なんていなかった、わたしなんかに……。