楽しそうに笑う三人を見てぼんやりしていると、ふいに涙がこぼれてしまった。
「えっ……? あれ……?」
とめどなく溢れ出す涙をなんとかとめようと、必死で頬を拭う。
それでも涙は一向にやむ気配を見せない。まるでわたしの中にいる他の誰かが、代わりに泣いているみたいだ。
「あれ? おかしいな。別に悲しいわけじゃないのに」
わたしが意味もわからず泣いている様子を、みんなはなにも言わずに優しい目をして見つめている。
「ちょっと、誰かなんか言ってよ。ほんとになんでもないんだから」
どうしたとか聞かれてもわからないのには間違いないけれど、なにも言ってくれないと、それはそれで恥ずかしい。
涙の上におそらく赤面まで重ねていると、やっと美輝が言葉を紡いでくれた。
「琴音……今幸せだなあって思ってたんでしょ?」
いつもの笑顔で放たれた美輝の言葉に、零れる涙が加速する。
どうして、『なんで泣いてるの』じゃないの? そんなこと言われたら、嬉しくて余計に泣いてしまう。