「琴音、なににする? オムライスもいいけどカレーも捨て難いよね。あぁ、なやむぅ……」
「それならおすすめにオムカレーっていうのがあるから、それにしない?」
「オムカレー? どこにそんな……」
美輝がメニューをぱらぱらとめくって表紙に戻すと、カレーがかかったオムライスの写真が載せられていて、そこには小さくおすすめと書かれていた。
「ほんとだ。いつの間に見つけたの?」
そういえば、内装や店員さんに気を取られていてメニューは一度も見ていない。
「メニューまで覚えているんなら、よっぽどおいしいんじゃないか?」
結弦がメニューを目で追いながら「ふふっ」と笑みをこぼす。これじゃ、わたしが食いしん坊みたいで、なんだか恥ずかしい。
「わたしオムカレーにしようっと」
「俺はカツカレーにするかな」
美輝に続いて怜も決まったようだけれど、オムライスじゃないのか、と心の中でツッコミを入れる。
「じゃあ、俺はオムライスのカツ乗せ。琴音はどうする?」
「あ、わたしも美輝と同じ。オムカレーにする」
全員決まったところで、結弦が「すみません」と店員さんに声をかけた。
「はい、お決まりですか?」
結弦がすらすらと全員分のメニューを注文してくれる。いつもこういう場面になるとさりげなく結弦がまとめてくれて、それが当たり前になっていた。みんな結弦を信頼しているのだ。
こんなすてきな恋人や友達と一緒にいることができる、それだけでわたしは幸せだ。