商店街をもう少し進むと、小さな花屋が見えてきた。営業もしているようだ。

 開いていてよかった。亡くなった方々のためにもお花くらいは持っていきたい。

 お花屋さんに入ると、老齢で感じのよい女性の店員さんが話しかけてくれた。


「いらっしゃいませ。プレゼントですか?」

「いえ、慰霊碑にお供えできるようなお花を、いくつかいただけますか?」

「かしこまりました」


 バスの時間を気にしてくれたのか、店員さんは手早くお花を見繕い種類を説明し始めた。美輝にカーネーション、怜には白いユリ、あとは百日草と紫苑に勿忘草を詰め合わせてもらったものを買うことにする。


「慰霊碑に供えたお花は、そのままにしておいてあげてください。定期的に役場の人が回収してくれるので」


 店員さんにそう教えてもらいお礼を言ってお店を出ると、元来た道を駅前まで引き返した。