「わかりました。おばあさん、遙さん、ありがとうございます。翔太くんばいばい」


 花屋の場所を聞こうとしたが、これ以上ここにいるとまた泣いてしまうと判断したわたしは、「行ってきます」と告げてお辞儀をすると、踵を返して店をあとにした。


 この家族と、もっと早くに出会いたかった。

 そうすれば、なにかが変わったかもしれない。いや、変えられたかもしれない。


 思い返せば、今まで塞ぎ込んでいた自分の世界は、とても狭いものだったのかもしれない。


 次こそは変わるんだと決意して、わたしは商店街を歩き始めた。