涙で言葉を詰まらせるわたしを諭すように、怜が口を開いた。


『仕事の失敗なんて人の命に関わるもんじゃねえし、そこまで気に病む必要ねえだろ?』


 怜らしい考えだし一理あるとは思う。けれど、今のわたしはそれで納得することができない。


『あの事故からさ、お前はなんでも背負いすぎなんだよ。俺らが生き残れなかったことだってお前のせいじゃねえし、結弦が寝たきりなのもお前のせいじゃねえよ』


 そんなこと言われても、わたしじゃなく他の誰かが生きていたならって、そう考えてしまうんだもの。


『勝手に自分のこと責めて罪滅ぼしだとか言って頑張りすぎなんだよ。仕事だって命懸けでするもんじゃねえし、逃げたって構わねえよ』


 怜の言うとおり、わたしはあの事故以来ことある毎に自分を責めてきた。

 わたしだけがいつもどおりに暮らせることに罪悪感を感じて、いつしか楽しみや喜びを避けるように生きていた。

 幸せになってはいけない、そう思って心にも蓋をしている。

 そうして閉ざされた心は、苦痛から逃げるという手段をも忘れさせてしまったのかもしれない。