最後の言葉で体中に衝撃が走る。
七年間、週末は必ずここに通っていた。それはなぜだろう?
初めのうちは、眠っている結弦に話しかけていると、そのうちにひょっこり目を覚ますんじゃないかと期待していた。けれど、今はどうだろう?
高校生の頃から好きな気持ちは変わっていない。
目覚めてほしい気持ちだって、もちろん変わらない。
でも違う感情が割り込んでいるのも事実だ。
結弦が目覚めない現状に慣れてしまっているわたしは、いつからか結弦のためではなく、自分のためにここに来ていたのではないだろうか?
窓の外に閃光が走り雷鳴が響くと、ふいに雨やどりという言葉が浮かんだ。
わたしの心はいつも曇っていて、ときに雨が降っている。
感情という傘を失ったわたしは、結弦に雨やどりしていたのではないだろうか。
返事がないからといって自分の愚痴をこぼすようになるなんて、結弦を精神安定剤にしていたんじゃないかとさえ思えてくる。
……わたしはいつから、こんなに卑屈になってしまったのかな。
この人はわたしを心配してくれているだけなのに。
わたしの両親に対しても、本気で申しわけないと思ってくれているに違いないのに。