二〇二二年 七月十六日

高校三年生の琴音は、彼氏の結弦、親友の美輝、そして美輝の彼氏の怜と共に海が見える小さな町の温泉宿を目指していた。

しかし四人を乗せて走るバスは、暴走する対向車を避けようとしてダム湖へと転落してしまう。

その事故で美輝と怜は助からず、結弦は事故以来目を覚ますことはなかった。


それから七年後――。


とある中小企業に就職した琴音は、流されるまま日々を淡々と過ごしていた。

そんなある日、上司に仕事の失敗を咎められ、縋るように向かった結弦のもとで、琴音は閉じ込めていた感情をあらわにしてしまう。

そして、美輝と怜が眠る事故現場の慰霊碑へと向かう琴音。

道中に不思議な猫やバス事故の遺族と出会い、七色という土地の伝説を知った琴音が辿り着いたのは七年前のバスの車内だった。

なにが夢で、なにが現実かわからないまま、時空を超えた先で叶う四人の旅。
未練を残して彷徨う魂を送る、天伽の巫女との出会い。

旅先での様々な体験が、徐々に琴音の心を強く変えていく。
しかし、その世界には大きな秘密が隠されていて――

時を越えた想いが繋いだ命の物語。