駄菓子屋からの帰り道。
葵ちゃんから受け取ったトンボ玉を首から下げられるようにと、美輝が紐の長さを調節してくれた。
結び目がふたつあって、片方をつまんで紐を引くと長さが調整できる。さすが、お洒落な美輝はこういうときも頼もしい。
「よく似合ってるよ、琴音」
そう言われて鏡で確認すると、首元に映ったトンボ玉は蝶の細工がきらきらと七色に輝いていて思わず笑顔がこぼれた。
空は果てしなく澄みきっていて、遠くに入道雲が立ち昇っている。
しゅわっと弾けながら喉を通過する甘いラムネのおかげで、この暑ささえもなんだか爽快だ。
「ねえ、お祭りの前に温泉入っていかない? また汗かいちゃって気持ち悪い」
美輝がラムネのビー玉を覗きながら提案する。夏の日差しで汗だくになったわたし達から反対意見が出るはずもなく、わたし達は旅館への道を汗を拭いながら歩き続けた。