かき氷を食べ終えて店内に入ると、初めて目にするお菓子がたくさん並んでいた。
五円のチョコ、十円のガムに三十円くらいのスナック菓子、小さなカップラーメンみたいなものもあって、どうやらここでお湯を入れて食べることができるらしい。
五円で買い物ができたり店内で小さなラーメンが食べられたりするなんて、初めて駄菓子屋に来るわたしには珍しいものばかりだ。
他にも大小さまざまな鈴や、スーパーボールのクジにビー玉なんかも売っていたが、とりあえずわたしと美輝は夜食べるかもしれないお菓子を買うことに決めて、初めて見るスナック菓子をいくつか見繕った。
結弦と怜は容器に入った大きなたこせんと、串に刺さったイカなのかなんなのかわからないお菓子を買って食べていた。子どものようなチョイスに顔が綻ぶ。
「じゃあ、俺達そろそろ行くよ」
お菓子を食べ終えた結弦が、笑顔で葵ちゃんに告げる。
「いつまでこっちにいるの?」
「明日の昼に帰るよ」
「そっか……」
小さく呟く葵ちゃんの声からも淋しさが感じられる。短い再会でお互いきっと名残惜しいのだろう。でも葵ちゃんはすぐに顔を上げるとわたし達全員を見渡すようにして笑顔を見せた。
「来てくれてありがとう。会えて嬉しかった」
結弦はもどかしい顔をして、次の言葉を探しているようにも見える。
「あ、そうだ!」
なにかを思い出したような葵ちゃんがわたしのほうへと駆け寄ってくると、自分の髪飾りを外した。
「琴音ちゃん、これあなたが持ってて。あたしからのプレゼントよ」
差し出されたのは、蝶の髪飾りの先に付けている、紐が通ったガラス玉だった。