かき氷を受け取り、わたしと美輝は店先のベンチへと腰かけた。

 冷たい氷を口に含むと、火照った体が内側から冷えていくのを感じる。

 怜も結弦から距離を取り、わたし達の前で立ったままかき氷を食べている。

 わたし達は三人で会話をして、さりげなく結弦と葵ちゃんがふたりで話せるようにしておいた。

 けれど三人で話していても、わたしはどこかうわの空だ。つい結弦と葵ちゃんの声に聞き耳を立ててしまう。


「かき氷の値段、今も変わらないんだな」


 ――二百円という安さにわたしも驚いたけれど、昔からそうだったんだ。


「おばあちゃんがね、子どもが買えなくなるから値上げは絶対しないって言ってた。それを聞いた氷屋さんも、氷を安く売ってくれてるのよ」


 ――そのおばあちゃんは、きっと子どもが好きなんだろうな。


「そのくせ子どもが買いに来たらぶすっとしてるんだけどね」


 ――え? 子ども好きなんじゃないの?


「あれは駄菓子屋のおばちゃんってキャラを演じなきゃならないからだよ。葵もわかってるんだろ」


 ――あぁ、そういえば駄菓子屋のおばちゃんは怖くないと務まらないって聞いたことがあるな。万引き対策だっけ。


「まあ、あたしも子どもには甘くないけどさ」


 ――うん、なんとなくそんな気がする。


 遠い入道雲をぼーっと見ながら、冷たいかき氷を喉に流し込む。

 ふたりはほんとに仲がよかったんだろうな。
 小学生以来の再会だというのに一切溝がない。まるで昨日まで一緒にいたんじゃないかってくらい自然だ。