長谷川さんを見送ってから着替えて裏庭へ周ると、木陰で寝転がっている結弦と怜の姿が見えた。
「あっ、さぼってるー」
よほど疲れているのか、美輝の言葉には耳を貸さずどちらも大の字のままだ。
どう見ても大丈夫ではなさそうな様子のふたりに、わたしも声をかけてみる。
「ふたりともお疲れ様。大丈夫?」
「あぁ、琴音。大丈夫だよ。ちょっと暑さでへばっちゃって」
水泳部で大活躍しているふたりが肩で息をしながらへばっている姿は、なかなか貴重だ。
「で、進捗はどうなの? もう全部終わった?」
美輝が腰に手を当てて男子ふたりを見下ろしながら問いかける。
「いや、あと半分ってとこかな。怜がなかなか草刈り機に慣れてくれなくてさ」
「だってこれどう見ても危ねえじゃん。なんでこんなの扱うのに資格とかいらねえんだよ」
怜ってもしかして慎重派なのかな。運動できる人って機械の扱いなんかも得意そうなのに、ちょっと意外だ。
むうっと膨れっ面を見せた怜に、美輝は容赦なく追撃を加える。
「あんたがどんくさいだけじゃないの?」
「もう慣れたっつうの」
「ま、昼からはわたしらも手伝うからさ。長谷川さんがそろそろごはんにしなさいって」
「おぉ、そうしようぜ」
怜が勢いよく起き上がった。まだまだ元気そうだ。結弦もそれを見て笑みをこぼす。
「じゃあ俺達はシャワーで汗を流してくるから、ふたりは先に食堂へ行ってくれる? この姿じゃさすがに館内に入れないからね」
結弦にそう促され、汗だくのふたりを見送るとわたしと美輝は食堂へ向かった。